案件タイプ
CNC自動旋盤は顧客の設備投資、地域景気、自動車・精密部品需要の影響を受け、受注から売上まで時差がある。小型プリンターも決済・店舗形態の変化に対応した製品転換が必要になる。スター精密の複数事業は循環を分散できる一方、開発・販売資源が分散する弱点も持つ。タイヨウ側は地域と事業を横断した資本配分を速めることに非公開化の意義を置いた。
タイヨウ側は既に35.69%を保有し、対象会社との対話や資本業務提携を経た大株主だった。ゼロからの買収ではなく、継続保有株を土台に買付会社が一般株主分を取得する構造である。下限1,480万株余りは後続特別決議を見据えた市場側の必要数で、結果の買付者51.12%と既存ファンド35.69%を別々に読むと資本移動が明瞭になる。
読みどころ
工作機械の改革はピーク売上ではなく、受注残、受注から出荷までの期間、工場稼働、在庫、地域別シェア、サービス売上、景気底での損益分岐点で測るべきである。製品群を整理すれば資本効率は上がり得るが、将来回復時の選択肢を失う危険もある。設備と研究開発を削る局面、積み増す局面を需要シナリオ別に定めることが、非公開下の機動性を価値へ変える条件となる。
大株主との長期対話は情報理解と実行速度を高める一方、同じ大株主が買い手となる局面では、過去に蓄積した情報と一般株主の情報差が問題になる。初回1,900円から2,210円への増額、第三者算定、特別委員会はその緊張を緩和する装置である。非公開化後には、ファンドの回収期限とスター精密の設備・研究投資の期間が衝突しないかもガバナンス上の監視点となる。
2,210円は四つの市場参照値にほぼ30〜32%を上乗せし、過去5年高値2,172円も38円上回る。類似会社法上限2,085円より高い一方、DCF1,989〜3,262円では下方に位置し、中央値2,625.5円を415.5円下回る。初回比310円、16.3%の増額は明確だが、長期キャッシュフローを強く評価する株主にはなお上方余地が見える価格だった。
一般株主は2,210円で設備投資循環、為替、海外需要、製品転換の不確実性を現金化した。応募株式換算2,478万株余りは下限を約999万株上回り、成立に十分だった。対してタイヨウ側ファンドは35.69%を応募せず、改善後価値へ関与し続ける。新株予約権は種類ごとに1円または行使価額差を反映した価格で、普通株式のプレミアム評価をそのまま当てはめられない。