案件タイプ
ウッドフレンズは愛知県の戸建市場を主戦場とし、土地取得から設計、施工、販売までを担う。戸建市況の悪化と資材価格上昇で業績・資金効率が弱るなか、国産材を余さず使う木質資源カスケードを次の柱にしようとしていた。住宅販売の回復と木材利用の新市場開拓を同時に進めるには、在庫資金と販路、用途開発の規模が不足していた。
応募契約を結んだベストフレンズと前田氏で45.29%を押さえ、完全子会社化下限66.67%の約3分の2を開始前に確保した。創業家側も一般株主と同じ1,720円で退出する構造で、MBOのような経営者の再投資は開示されていない。成立確度は高かったが、残り株主から約31万株以上の応募を得る必要があった。
読みどころ
長谷工はマンション建設と全国の用地情報を持ち、ウッドフレンズは東海圏の戸建施工・販売と国産材利用に強い。双方の商品を組み合わせれば、ミドル層からアッパーミドル層へ住宅の幅を広げられる。さらに戸建用の木質材をマンション専有部やRC・木造の複合建築へ展開できれば、木材加工設備の稼働率と調達量を高める余地がある。
財務面では長谷工の信用力とグループ金融が、土地・建物在庫を先に抱える住宅会社の資金繰りを補完する。非公開化による上場費用の削減も直接効果になる。ただし資金が安くなっても、需要に合わない用地や住宅を積み上げれば在庫リスクは増す。取得案件の回転日数、粗利率、木質事業の外販比率を管理できるかが再建の実質を決める。
1,720円は直前終値を91.11%上回り、6か月平均にも61.50%を加えたため、市場価格基準では強い退出条件である。DCF935〜2,200円の中央値1,567.5円も超える一方、上限までは480円残る。簿価純資産1,833円を113円下回るが、棚卸資産の換価損や解体・処分費を考えると簿価がそのまま株主へ返るわけではなく、継続企業のDCFと清算時回収を混同しない評価が必要だった。
株主は低迷していた市場価格から大幅に高い1,720円を確定できるが、長谷工の支援で財務と販路が改善した後の利益は手放す。筆頭株主ら45.29%の応募契約があるため成立可能性は高く、独立株主には価格評価が主な争点だった。公正意見はないものの、独立算定のDCF中央値超、30営業日の募集、上限なしという条件が判断材料となった。